スケバン

定義

スケバンは少女による逸脱の美学。1960年代後半、男性中心の番長文化への対抗として生まれた。セーラー服という制度の解体。ミニスカートが流行するなか、あえてスカートを長くした。短く切り上げたトップスで腹部を露出する。薔薇や漢字の刺繍はパンクに通じるDIY精神の表れ。1970年代の東映映画や『スケバン刑事』でアイコン化した。80年代以降はヤンキー文化へと形を変えた。現在は映画やモード誌のなかで生き続けている。

視覚的文法

  • シルエット

    • 足首まで届くマキシ丈のプリーツスカート。ボックスシルエットのセーラー服との組み合わせ。
    • 短く切り上げた、あるいは捲り上げたブラウス。ハイウエストのスカートの上で腹部を露出させる。
    • ミニスカート全盛期に、あえて下半身を覆い隠す直線的なシルエット。
    • 制服の上に羽織る、刺繍入りのロングコート。
  • 素材

    • 標準的な制服に使われるサージやコットン。高級品ではなく、制度的な布地を転用する。
    • 薔薇や組織名、スローガンを刻むための刺繍糸。
    • 結ばずに垂らしたバンダナやスカーフ。
  • 構造

    • ハサミで切り込みを入れ、縫い直されたセーラーカラー。
    • 裾を解き、布を継ぎ足して長くしたスカート。
    • 既製品ではなく、着用者自身の手で施された刺繍。
    • 捲り上げた袖。指定の白以外を用いたカラーソックス。
  • カラー

    • 紺や黒をベースとした制服の色。セーラー服の白いトリミング。
    • 刺繍やスカーフ、薔薇に用いられる赤のアクセント。
    • 暗いトーンの制服に映える、明るい髪色やパーマ。
  • フットウェア

    • 指定のローファーではなく、コンバースなどのキャンバススニーカー。
    • ルーズに弛ませたソックス。

ボディ・ロジック

正しさを拒絶する着こなし。髪はパーマか脱色。眉は極限まで細く整える。メイクは最小限に留める。トップスを切り詰めてウエストラインを分断する。下半身はロングスカートで覆う。時代の流行だった露出へのアンチテーゼ。重心は低く。ルーズ。背中や襟の刺繍は、自らの意思を表明するためのキャンバスとなる。

模範例

  1. 01

    麻宮サキ(スケバン刑事)1975-1987

    和田慎二の漫画、および斉藤由貴らが主演したテレビドラマ。ヨーヨーを武器に戦うヒロイン。スケバンのイメージを大衆文化に定着させた。

  2. 02

    池玲子、杉本美樹1971-1974

    東映の『女番長ゲリラ』や『恐怖女子高校』シリーズの主演。スクリーンにおけるスケバンの象徴。

  3. 03

    押田美和1970-1971

    東映『女番長』シリーズの初期4作品で主演を務めた。

  4. 04

    木野まこと(セーラージュピター)1992-現在

    『美少女戦士セーラームーン』のキャラクター。長いスカートと勝ち気な性格。スケバンの記号を後世に伝えた。

年表

  • 1960年代後半

    女子を除外していた男子の番長グループに対抗し、最初のスケバングループが誕生。

  • 1972

    「スケバン」という言葉が隠語から一般的な用語へと広がる。

  • 1970-1973

    東映の映画シリーズにより、このサブカルチャーがセンセーショナルに描かれる。

  • 1970年代半ば

    スケバン文化の全盛期。組織化が進み、独自の掟が形成された。1975年に『スケバン刑事』の連載が開始。

  • 1985-1987

    ドラマ版『スケバン刑事』がヒット。ストリートの文化がアイドルのポップカルチャーへと変換される。

  • 1980年代(衰退)

    警察の取り締まりや世代交代により衰退。ヤンキーやレディース文化へと派生していく。

  • 2004-現在

    アニメや映画を通じて様式美が保存される。2010年代半ばからは欧米のファッションシーンでも再発見された。

参照

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